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Artist's commentary
柳の下のデュラハン
デュラハンとは「島のケルト」と呼ばれる文化圏のアイルランドに伝わる首なしの妖精であり、コシュタ・バワーという首なしの馬が引く馬車に乗って現れて死を宣告する存在である。自らの首を抱えた騎士であるとも女性であるともいわれ、死に行く者の前に現れて桶一杯の血を浴びせる。この血を浴びたものは一年以内に死亡するという。また、デュラハンの姿を見たものは鞭で目を打たれるという話もある。デュラハンはデュラハーンやデュラッハンとも表記され、またDullahanともDurahanとも綴られるが、綴りは前者の方がより古い伝承に近いらしい。そもそもはアンデッドではない事に注意。主に現イギリスやアイルランドでは、日本における妖怪のようにこうした超常的な存在は全て妖精と呼ばれるといっていい。首がない、首が外れる、伸びるといった妖怪は中国の飛頭蛮を筆頭とする所謂抜け首系のグループがあり、飛頭蛮の系譜とは無関係に古今東西に存在する。デュラハンと同じケルト文化圏のウェールズでは、有名なアーサー王伝説に登場する首を落としても尚生きている緑の騎士が、南米はアマゾン川流域に伝わる耳を翼にして飛行し、その鳴き声を聞くと不吉とされるチョンチョンが、マレーシアには頭部から内臓をぶらさげたまま飛行するペナンガランが。しかしニューヨーク北部に伝わるスリーピー・ホロウは土着の伝承や都市伝説などといわれているが、デュラハンの伝承をモチーフにしてあるドイツ人が書いた創作である。そして日本のろくろ首もまた飛頭蛮の系譜ではあるが、首が伸びるタイプのこのバリエーションは元々飛頭蛮と同じく寝ている間に頭部が空を彷徨っていたものが、妖怪絵巻などに描かれる際に頭部と胴体を繋ぐ魂の糸とでもいうべきものがつけられ、次第にそれがうねうねと伸びた首とされるようになったものである。また、夢遊病のように寝ている間に頭部のみで飛行している間の記憶が本人にはないという話や、本人の意思とは無関係にゴミや野良の獣を貪り食うなどの話も伝わっている。そうしたろくろ首の特徴から憑きものや病によるものであり、彼らはアンデッドではないといえるかも知れない。そもそも妖怪とは幽霊も含むものではあるけれども。柳の下といえば川沿いにあって幽霊が立っている場所の定番であるので、人を脅かすにはいい物件なのかも知れない。ここまで読んだ方は作品アンケートなんかも良かったらどうぞ。