Artist's commentary
【進撃の巨人】対巨人用超硬質ブレード&立体機動装置(原作版)
漫画「進撃の巨人」に登場する、人類が対巨人用に開発した武器。人間を捕食する巨人によって絶滅寸前まで追い込まれた人類が無数の犠牲の上に開発した武器である。巨人は手足を吹き飛ばされても瞬く間に再生してしまうので、大砲や爆薬が役に立たない。しかし後頭部を大きく損傷すると、再生する事無く絶命するという弱点がある。対巨人用の訓練を積んだ兵士は、肉をそぎ落とす為の「超硬質ブレード」と、巨人の後頭部へ跳躍する為の「立体機動装置」を装備し、巨人に対して(絶望的な)戦いを挑む……。ところで、少し視点を変えてこの武器の事を考えてみよう。現実の世界では、豪腕の人間でも馬の首を切り落とす事がやっとだ。何故なら馬の筋肉や骨を切断するのに必要な加重を叩き出す事が人間では不可能だからだ。普通に考えれば人間が体長15mの巨人の肉をそぎ落とす事は不可能なのだが、一つの回答として「立体機動装置」が考案されている。兵士は巨人の体にフックを打ち込み、フックに繋がれたワイヤーをガスの圧力で巻き取って飛翔し、巨人の弱点を攻撃する。要はオートバイに乗って数十キロまで加速し、すれ違い様に斬隙を叩き込むようなものだが、これならば加速を加重に変換して攻撃する事が可能だろう。劇中では兵士が巨人を攻撃する際には必ず立体機動装置を用いた跳躍を利用するか、自重を利用して落下しながら巨人の肉をそぎ落としている。二つ目の回答は、肉を切る為の武器だ。この世界は電気が出来る以前、産業革命前がベースになっているのだが、その時代の最新の素材は鋼鉄である。鋼鉄は強靭で粘り強いのだが重い。鋼鉄の剣は立体機動装置で跳躍しなければならない兵士が持つには不向きだろう。そこで劇中では、超硬質素材というレアメタルで作られた対巨人用の専用の刃が設定されている。この刃は鋭く軽く、よくしなり、巨人の肉を切る為だけに用いられる。普通の剣ではなく、カミソリの刃のような代物である。巨人を切って刃が潰れる事を想定しているので、兵士は替え刃を装備しており、合理的に刃を使い捨てながら戦闘を継続する様が描かれている。これら立体機動装置と超硬質ブレードが合わさって、初めて人間は巨人に対抗できる術を得た訳だが、作中では「巨人一体を倒す前に30人が死ぬ」と形容されるくらい、圧倒的な力の差がある。尚、原作漫画版とアニメ版ではデザインが異なるので注意。