Artist's commentary
私の式神ったら
「それはもう目に入れても痛くないくらい可愛いの。ちょっとからかっただけで面白いほど反応してくれるのよ、何度も同じ手にひっかかるし。そのあとってたいていふてくされちゃうんだけどね、その顔がまた可愛いのなんのって。この前なんて真っ赤になってなみだを目にいっぱい溜めちゃって、「紫さまは、意地が悪いですよ」なんて、言うの。ああ思い出しただけで、もう。可愛いったら、ありゃしないわ!でも、ざんねんね、想像できないでしょうね。あの子あなたの前ではあんまり感情的にはならないでしょ?ううん、そうじゃないと困るわ。あんな可愛い顔、私以外の誰にも見せたくなんて無いですもの。それでね、それでね。あの子、
ちょっと融通は利かないけれど、誰よりも向上心がある良い子なのよ。理解できないことは何だって聞いてくるの、覚えたことはすぐ実践する。まあ、まだまだ発展途上な感じはあるわね、でも見ていて微笑ましいじゃない。私の模倣からあの子もいつか、誰も思いつきもしないような発想が生まれてくれたら良いって、・・・何千年先になるかわからないわね。それでも私はあの子を見守りたいって思ってるのよ。・・・そうそうそれにそれに、あの子ふわふわでもこもこでとってもあったかいのよぉ。ときどきね、ブラッシングしてあげるの。やっぱり恥ずかしいらしくて、毎日はさせてくれないのよね。もうね、もうすっごく柔らかいのよ~、でもそれだけじゃないのよ?付け根のとこ撫でてあげると気持ち良さそうな顔してるの、わざと「だらしないわよ」って叱ったら、うふふ、耳まで下げてしゅんとしてたわ。はぁ、やっぱりうちの藍は可愛いわ。すなおでまじめでまっすぐで。ずっと変わらないの、傍に置いたときからずっと。時間と共に私のせかいは変わっていくけれどあの子はずっと変わらないの。それが、途方も無く安心できるのよ。って、これはあの子には、内緒にしていてね。」