Artist's commentary
霊峰ルゥ・トラン
ルゥ・トラン――古ツガル語で「穂先」という名を持つ、阿国三名山のひとつ。
ツガル神話によると、神ラオクニが7日間かけてこの世界をつくったとされるが、その7日目の日没、眠ろうとした神がうっかり手をついてしまったのがこの山の頂であり、それによって出来た傷口より流れ出た神の血の中から、我々人間を含む数多の獣たちが生まれ出て、世界は生命で溢れることになったのだそうだ。
日没前の数分間、沈み行く太陽の光を受け、ルゥ・トランの山肌が赤く染まる。それはまるで血を浴びたかのように赤く美しい。