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Artist's commentary
ヤマメの影
命蓮寺の入門を断られた帰り道、ヤマメは奇妙なほど深い喪失感と失望を味わっていた。入門の拒否――それは彼女にとっては単に新しい餌場を獲得できなかっただけのことにすぎない。餌場なんて他にもある。さほど気にする必要もない、、、それだけのはずなのに、彼女の心に去来するこの想い。人と妖が共存する場所、命蓮寺。人と妖怪との間ですら繋がりを持てるこの場所に、彼女自身、知らず知らずのうちに地上の誰かとの繋がりを求めていたのではないだろうか?皆に蔑まれ恐れられる地底の妖怪・土蜘蛛である自分ですらもここなら受け入れてくれるのかもしれない、そういう淡い希望が自覚もないまま彼女の内に芽生えていたのだろうか。かつて地底に封じられていたという博愛の尼僧に救いを求める妖怪、それはあたかも蜘蛛の糸にすがるカンダタのごとく。しかし蜘蛛の糸は断ち切られ、土蜘蛛は地底へと帰っていった。彼女のうちに芽生えて、そして潰えた淡い願い。潰えた願いは歪に育ち、人の形と土蜘蛛の形を備えた異形の影が誕生した。人の形質と蜘蛛の形質の両方を兼ね備えたそれは、人との共存を望んだ彼女の願いの邪悪なパロディそのものだった。