Artist's commentary
マフラーで後ろ髪もっこりな早苗さん(JK)と一緒に下校【差分付】
この冬一番のクソ寒い土曜の午後、寒空のもと俺はひとりの少女と帰路を共にしていた。グレーにチェックのいかにも女子高生なマフラーに顔をうずめながら、彼女は温かいココアの入ったコップのぬくもりを大事そうに抱えている。そんなものでは防げないほどにここ長野の冬は厳しい。が、無いよりはマシなのである。そう思って途中の自販機で買ったのだ。いや、正確に言えば俺が買ってやったのだ。 「では遠慮なくいただきます」 ニコニコしながら彼女が言う。 「熱いから冷まして飲めよ」 特別猫舌というわけでもないと思うが、早く温まりたいという願望がお口の大惨事を招く場合もある。一応はお付き合いをしているわけだし、相手の身を案じるのは当たり前だ。というのは建前で、いや、まあそれもあるのだが、本当のところは火傷による舌を絡めるキスの拒否を未然に防ぐためだ。 ―――俺はある決意をしていた。告白してやっと結ばれたあの夏から早半年。もうそろそろだと思うのだ。次のステップ。恋人同士であれば誰でも行き着く最終工程。そう。"アレ"である。この寒い真冬だからこそ相手の肌のぬくもりを感じるにはもってこいだと思うのだ。そして共働きで不定休な両親が揃って出勤し、午前で授業が終わるこの土曜日。まさに絶好のチャンスである。この日を逃すまいと、俺はこの一週間あの手この手で彼女のご機嫌を伺ってきたのだ。 「あはは。やさしーねー」 火傷を心配する俺に感心した様子。さらにニコニコ顔である。ここ最近はずっとこんな感じだ。俺は手ごたえを感じた。イケる・・・!今日の性交を・・・間違えた、成功を確信した。ふーふーと湯気がたちこめるココアに息を吹きかける彼女を見つめる。意識が自然とリップで潤う唇に集中する。と、俺の燃えたぎる視線に気付いた途端、彼女の顔がみるみるうちにかぁっと朱色に染まっていった。 「な、何みてるのよ」 可愛い。唇をすぼめている姿が恥ずかしかったのだろうか。そんなことでいちいち照れるなんて、なんて可愛らしいんだろう。そして・・・今まさに下校からお家デートへの流れを組む絶好のチャンス到来である。ここで俺は穏やかな顔をして彼女をうまく家に誘い・・・一緒に勉強という名目で宿題を手伝ってもらい・・・晩ご飯を一緒に食べ・・・夜は・・・めくるめく幸福な時間が待っている。彼女への愛しさと下半身に滾る欲望に背中を押されるように俺は口を開いた。