Artist's commentary
僕は仲間内とコミケの打ち上げに秋葉原のある酒場にやってきていた
会場の熱気醒めない僕らは戦利品とか話題のサークルについてを延々と語っていった。いくら飲み続けただろうか。離れた座敷を見ると、子供が一人ビールを飲んでいた。普段は気になっても無視すると思うが、僕は酔った勢いで、ねぇ、君、と話しかけてしまった。「ん、なんだあんた?。」その子は怪訝そうな顔で僕を見る。君、いくつだい?ちゃんと成人してないなら、お酒はよしなよと言うと、「はぁ?。あんた、失礼な奴だな。」と言って年齢を教えてくれた。僕より2つ年上だった。僕は恐れ入って、ああ、すいません。勘違いしてしまって・・・と謝ると、「失礼な奴だな。いきなり話しかけて、子供だのと」と不機嫌そうな顔をして、「私背が低いもんな。良く間違えられるぜ。」とふーと溜息をついた。「まぁ、いい。ちょっとあんた。愚痴に付き合えよ」と座敷に手招きする。突然の招きに僕は戸惑ってしまったが、「誘ってきたのはあんただぜ?」とにやりと笑う。普段ぼビビリな僕は、その場を後にしていただろう。普段なら。・・・「ここはつまらないぜ。魔法も妖怪も異変も何もない」と女はビールを煽りながら愚痴る。どうやら、何かのアニメになりきって話をしている様である。ここは秋葉原である。こういう人間も、居るのは珍しい事ではない。へべれけの僕は彼女の『設定』に悪ノリして、じゃあ、君が異変を起こせばいいんじゃないか!と偉ぶって答えてみた。「成る程な。それもありかもな。いつかの性悪天人の様だが・・・。」と懐かしそうに笑う女。それにしても、君、センスある服を着こなすねぇ、何が元ネタなの?と僕が聞くと、「ああ、うちの故郷は皆こういう服つけてるんだよ。おかしな帽子も被ったりしてさ・・」と照れた様に女は頭を掻く。そんな風に僕らは結構気兼ねなくビールを飲み耽っていた。「ん~。そろそろ、私は帰らなきゃな」暫く飲んでいると、女は時間を気にし始めた。送っていこうかと僕はげへへと笑って言うと。「おいおい、送り狼が怖いぜ」とへへっと彼女も笑い、僕も笑った。「あんたと話せて久々に面白かったぜ。また縁があったら飲もうぜ」と女はじゃあなと席を立ち、僕も別れを言って・・・その日の記憶はそこで途切れている。この後目が覚めると僕は自宅で寝ていて、仲間にその日の事を聞くと、そんな女は居なくて、僕は酔払った後、ぶつぶつと寝言を言っていたらしい。そんな、幻想的な夜を過ごしてわっふるわっふる