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Artist's commentary
The final destination
長いツーリングの末、たどり着いたのは紅葉が赤く染まる滝のたもと。静かにたたずむフレンチブルーの戦前レーサー(Amilcar C6)です。
「Amilcar」は1921年から1940年の間に存在したフランスの自動車メーカーです。Amilcar(アミルカー)は、サイクルカ―というちっぽけな自動車の生産がその始まりでした。サイクルカ―は当時のフランスでブームとなりアミルカーを含め様々なメーカーがこぞって生産しました。また、1920年代のフランスはヨーロッパレース界の中心で、ブガッティを始め、ドラージュ、タルボなどのGPカーが閉鎖した公道を舞台に最速の栄誉を競い合いました。そのような歴史的背景から、アミルカーなどのメーカーが競って1100㏄ほどのライトウェイトにGPブガッティを模したようなポインテッドテールのスポーツボディを載せて販売しました。そんな中でアミルカーはルマンより1年早い1922年に始まったボルドール24時間レースに出場し見事優勝しました。そのモデルをベースにして誕生したモデルがCGSで、さらに車高を落とし、スポーティにしたものがCGSsというモデルでフランスの自動車レース隆盛のきっかけとなったと言っても過言ではありません。さて、絵のモデルC6は、1925年のレーシングモデルCOのプロダクションモデルで55台が生産されました。フルアルミボディに直列6気筒DOHC1100㏄エンジンをスーパーチャージャーで強化した完全なレーシングカーです。最高速度は165㎞/hに達し、フランスのライトウェイトレーサーの代名詞の一つと言えるでしょう。